布団を干した日の夜、なんだか布団が重い気がする。それ、天日干しのやりすぎが原因かもしれません。布団の手入れって、意外と勘違いしたまま何十年も続けている人が多いんです。ここでは、布団の天日干しにまつわる誤解を整理していきます。
長く干せば干すほどふかふかになるという誤解
結論から言うと、干す時間は長ければいいというものではありません。むしろ干しすぎると、布団の中綿を傷めてしまうことがあります。
布団がふかふかになる理由は、詰め物の中にある湿気が飛んで、繊維の間に空気が入りやすくなるからです。湿気を飛ばすのが目的なので、湿気が抜けきったあとは、それ以上干していても効果はほとんど変わりません。それどころか、直射日光を浴び続けると、羽毛やポリエステル綿の繊維が紫外線でじわじわと劣化していきます。特に羽毛布団は油分を含んでいるので、長時間の直射日光で油分が酸化し、独特のにおいが出ることもあります。
たとえば休みの日に朝9時からベランダに布団を出して、夕方5時まで8時間干しっぱなしにしていた、という人がいます。本人は「これだけ干せば完璧」と思っていたようですが、実際には午前中の2〜3時間で湿気はほぼ飛んでいて、残りの時間はただ生地を傷めていただけ、というのが実情に近いです。
ここは季節によって差が出るところで、冬場は空気が乾燥しているので短時間で済みますし、逆に湿度の高い日は多少長めに干しても構いません。羽毛布団のように専門家が「短時間・裏表30分ずつ」を勧めている場合もあれば、綿布団はもう少し長めでも大丈夫という声もあります。素材によって適切な時間は変わる、と考えておくのが無難です。
バンバンたたいて埃を出すのが正しいという誤解
布団を取り込むときにパンパンとたたく人、多いと思います。でも実はあれ、あまりおすすめできる方法ではありません。
たたく行為には二つの問題があります。ひとつは、布団の中の綿を傷つけて固まらせてしまうこと。もうひとつは、たたいた衝撃でダニの死骸やフンが粉々になり、逆に布団の表面や空気中に舞い散ってしまうことです。ダニ自体はたたいても布団の奥深くにいれば死にませんし、死骸やフンはアレルギーの原因になりやすいものなので、粉砕して広げてしまうのは本末転倒です。
実際の場面を想像してみてください。ベランダで布団をバンバンたたいている隣で、洗濯物を干している人がいたら、その人にも埃が飛んでいってしまいます。近隣トラブルの原因になることもあるくらいです。
ではどうするのがいいかというと、掃除機で表面を吸い取るのが今のところ現実的な方法とされています。専用のノズルがなくても、普通の掃除機のブラシノズルでゆっくりなでるように吸うだけでも違います。ただし、すべての布団に掃除機がけが必要というわけでもなく、こまめに天日干しをしていて湿気がこもりにくい環境なら、月に1〜2回程度で十分という考え方もあります。ここは家庭の環境によって判断が分かれるところだと思います。
梅雨時は干せないから諦めるしかないという誤解
雨が続く時期、布団のケアを完全に諦めてしまう人がいますが、干せないなりにできることはあります。
そもそも天日干しの目的は、湿気を飛ばして布団を清潔に保つことです。天日でなくても、除湿や送風で似たような効果は得られます。除湿機を布団の近くに置いて2〜3時間送風するだけでも、布団の表面や内部の湿気はかなり軽減されます。エアコンの除湿モードを使う手もありますし、扇風機の風を布団に当てるだけでも何もしないよりはましです。
梅雨時に窓を閉め切った部屋で、布団を椅子に立てかけて扇風機を1時間当てていた、という人の話を聞いたことがあります。天日干しほどの効果はなくても、布団の湿った重さがだいぶ軽くなったそうです。完全に乾かなくても、湿気を溜め込んだままにしないことが大事なんですね。
ただし、この方法にも限界はあります。何日も雨が続いて布団のケアが全くできない状態が2週間以上続くと、布団乾燥機や布団専用のクリーニングサービスに頼ったほうがいい場合もあります。カビの匂いがし始めたら、それはもう家庭内のケアだけでは対応しきれないサインだと考えたほうがいいでしょう。
布団乾燥機は天日干しの代わりになるという誤解
布団乾燥機さえあれば天日干しは不要、と思っている人もいますが、これは半分正解で半分誤解です。
布団乾燥機は温風で湿気を飛ばす機械なので、湿気対策としては天日干しと同じ、あるいはそれ以上の効果を発揮することがあります。特に梅雨や冬場の乾燥に弱い時期には、天気に左右されない分、布団乾燥機のほうが安定して使えます。ただ、天日干しには紫外線による殺菌効果や、太陽の熱で布団の奥までじんわり温まるという特性があり、これは電気の温風だけでは完全には再現しきれません。
たとえば一人暮らしで毎日忙しく、ベランダに布団を干す時間が取れない人が、週に3回布団乾燥機を使っているとします。湿気対策としては十分機能していますが、天日干しをまったくしていない分、布団の中で繁殖する微生物のケアはやや手薄になりがちです。掃除機がけを組み合わせることで、その弱点はある程度補えます。
逆に、天気のいい日に月2回きっちり天日干しをしていれば、布団乾燥機を無理に併用する必要はありません。どちらか一方が絶対的に優れているわけではなく、生活リズムに合わせてどちらを主軸にするか決めればいい、というのが実際のところだと思います。
干した後はすぐにベッドメイクしていいという誤解
取り込んだばかりの布団、すぐにシーツをかけてベッドに敷いていませんか。実はこのタイミングにも注意が必要です。
天日干しした直後の布団は、表面が温かく、内部にはまだ空気中の水分を吸収しやすい状態が続いています。そこにすぐカバーをかけてベッドに押し込むと、布団内部にこもった熱と湿気が逃げ場を失い、結果的に生乾きに近い状態でカバーの中に閉じ込められてしまうことがあります。せっかく干したのに、逆効果になりかねません。
理想を言えば、取り込んだ布団は室内で30分から1時間ほど平らな場所に置いて、粗熱と余分な湿気を抜いてからカバーをかけるのがいいとされています。忙しい朝に干して、仕事から帰ってすぐ取り込んでベッドメイクする、という生活パターンの人だと、このワンクッションを省略しがちです。
とはいえ、毎回30分待つのが現実的でない家庭も多いはずです。そういう場合は、取り込んだ布団をいったん扇風機の前に広げておくだけでも、粗熱抜きの代わりになります。完璧を求めすぎず、できる範囲で熱と湿気を逃がす一手間を入れる、くらいの気持ちで十分だと思います。毎日きっちり手順を守れる人のほうが少数派でしょうから。

